新しく施行される高次脳機能障害者支援法において、単なる日常の介助を超えた「権利行使のための重要な配慮」として位置づけられています。

1. 個々の特性に応じた「意思疎通手段の確保」

失語症の症状は、「言葉がうまく出ない」「相手の話を理解できない」「文字が書けない」など多岐にわたるため、一律の方法ではなく個々の特性に応じた適切な手段を確保することが支援の基本とされています。

司法手続における配慮: 裁判や捜査などの公的な場において、本人が自らの権利を円滑に行使できるよう、特性に応じた意思疎通の手段(筆談、絵カード、あるいは専門的な支援者の介在など)を確保するための配慮が行われます。

教育・研修の実施: 公的な業務に従事する職員が、失語症の特性を正しく理解し、適切なコミュニケーションをとれるよう、専門性を高めるための研修が実施されます。

2. 入院時などの「特別なコミュニケーション支援」

入院中など、環境が変化し不安が高まる場面では、より専門的な支援が求められます。

意思疎通を図れる従業者の付添い: 病院において、本人との意思疎通を円滑に図ることができる熟練した従業者が、病院スタッフと連携して支援を行います。

医療と福祉の事前調整: 入院前から、重度訪問介護事業所と医療機関が連携し、本人の障害特性や具体的なコミュニケーション方法について事前に情報の共有や調整を行います。

3. 「切れ目ない支援」による体制整備

医療機関でのリハビリテーションが終わった後も、地域生活の中で支援が途切れないよう体制が整えられます。

高次脳機能障害者支援センターによる調整: 各都道府県に設置される支援センターが、専門的な相談に応じ、医療・福祉・就労などの各機関を「点」ではなく「線」でつなぐ役割を担います。

地域でのコミュニケーション支援の継続: 生活介護や自立訓練などのサービスにおいて、言語聴覚士などの専門職の知見を仰ぎながら、日常生活に必要なコミュニケーション支援や適応訓練が継続されます。

4. 社会的障壁の除去

失語症の方が直面する「社会的障壁(事物、制度、慣行、観念など)」を取り除くことが法律の理念として掲げられています。

周囲の理解促進: 「見えない障害」ゆえの誤解を防ぐため、国民や関係者に対する普及啓発活動が行われ、失語症の方が孤立しない環境づくりが進められます。